一章 ロイド家の双核「二」

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その時だった。 一人勝手に怒るセバスの背後から、悲壮な叫び声が響いてきた。 「まってーーくださいっっっ!!セバスさーーーーーん!!!」 馬小屋から転がる様に、馬番三人組が飛び出してきて、セバスの前まで来ると、言い含めたように、さっと、三人同時に土下座した。   あまりにも、息の合った動きに、セバスは、何事かと目を細めたが、それが、どうやら誤解を生んだようで、三人は、地ベタにアタマをすり付けて、どうかどうか、と、何かを懇願し始めた。 「いや、君たち、何してるの?」   事の真相を探ろうとセバスは、声をかけるが、それも耳に入らないほど興奮しているのか、遂には、三人同時に、おいおい泣き始め、   そして、涙ながらに、 「セバスさん、すいません!」 「ああっーー!セビィさんは、悪くねぇ!()つなら、俺を打ってください!」 「いや、兄貴を()つなら、俺っちも!」 と、三人三様、叫び出す。    (そりゃあ、セビィは悪くないですけど?で、誰を()つんでしょうか?)  はて?と、首を傾げるセバスの仕草が、火に油を注いだのか、 「セバスさぁーーーん!!」 三人は、再び叫んだ。
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