一章 ロイド家の双核「二」

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さっぱり、訳がわからない。 屈強な三人組に、足元で泣かれるという、なかなか味わえない情景にセバスは、面食らっていた。   いっそ、このまま放置して、楽しんでみるのもありかと、共有できるであろうセビィを見たが、おとといきやがれ!このなんとか野郎!とか、地獄に落ちやがれ、なんとかかんとかがっ!と、中指まで立てて、人様には聞かせられない言葉で思いの丈を吐き出している最中だった。 これでは、一緒に楽しむことは無理だろう。残念だが、セバス一人で対応するしかないらしい。 そもそも、彼らは、セバスの名前を連呼している。従って、セバスに用があるのは、確かだろうが、オンオン泣かれ、鼻水ズルズルでは、何を言っているのか聞き取れない。 もしや、馬を買う金があるなら、給金を上げてくれとか、そう、最近、近隣諸国で流行り始めているという、新聞でみかけた、確か、ストライクとか、スクラップとか、スクラッチとか、労働者が権利を主張して居直るというあれなのか?   いやはや、そんな、面倒な事を起こしてもらっては、筆頭執事の管理責任として、こちらまで罪を問われる事になる。 ロイド家に至っては、爵位剥奪、お家断絶となることだろう。
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