一章 ロイド家の双核「二」

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「ああ、若人のロイド君は、やはり、わかってないようだ」 再び、セバスは、若人ロイドこと、チビと呼ばれた小柄な男をビシッと指差した。 「いいですか?セビィさんの体は、凄いっスよー!なんて、余所の御者に反論してご覧なさい。てめえ、セビィのなんなんだぁ?なんてことになり、大乱闘が始まることは、必須!違いますか?」 セバスの問いかけに、馬番三人組は、あっと息を呑むと、大きく頷いた。 「御者とは、寡黙な仕事。そして、どれだけ、耐え続けられるかが、勝負なのです。あーやっぱり気が変わったわぁー。今日は、出かけるのやめにする。と、ご主人様の一言で、馬車の準備はおじゃん。はたまた、あら?あのお店、素敵じゃなくて?止まってちょうだい!そこじゃないわよ!あっちよっ!などと、身勝手放題言い放題。けんもほろろに、扱われても、ただただ、黙って従わなければならぬのです。それなのに、大乱闘を起こしてどうします!その時、ご主人様が、馬車を廻して頂戴。などと、仰られたら!あら?!アテクシの馬車は、どこざますーー!と、こちらも、大騒ぎ!」 三人組は、セバス独演会に、なるほどと、唸っている。
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