一章 ロイド家の双核「二」

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「じゃあ、そこのロイドに、お嬢様付き担当させたら?」 セビィの一言に、場の空気は固まった。   鳩が豆鉄砲を食らった。まさに、その言葉通りの顔をした、三人組とセバスがいる。 「だって、ロイドは、セビィの(けつ)だけ、追っかけてるのよ?お嬢様に、手を出すなんて、考えられないわ。まっ、安全パイってことね」 (けつ)って、セビィ、お前……。と、言いかけ、セバスは、思う。   確かに。安全第一。どんなに、馬の扱いが上手かろうと、お嬢様に手を出すような者では、話にならない。   お嬢様付になれば、一緒の時間が増えてくる。自然、情も沸いてくるだろう。 それが、主と使用人の信頼関係で終われば良いが、まかり間違って、そのまま馬車で駆け落ちでもされたら始末に負えない。   まだ、それなら、引き離す、という方法があるが、お嬢様のヒモ男になり下がり、小銭をせびっては、場末の酒場へ入り浸って、「はあ?金がねぇだと?そんじゃあ、てめえの女に稼いで貰おうか」などと言われるまま、ホイホイと、お嬢様を売り飛ばすようでは、もっと困る。   ここは、ロイドで手を打つのも、あり、だろう。 セビィの(けつ)を追っかけている、と、いうのがいささか気になるが、お嬢様には、目もくれないということだ。    
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