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「二人とも、言ってるだろう?私に気を使わなくてもいいって」
「いいえ、エドワードさん。あなたは、私達の恩人です。お言葉に甘える訳には参りません」
真顔で答えるセバスの横で、大きく頷くセビィの表情も、引き締まっている。
「うーん、参ったなあ。ロイド家を守る二人に真顔で言われては、私も、落ち着かないよ」
セバス、セビィと親子ほど年回りが離れて見える、白髪混じりの男、エドワードは、紳士ぜんとした笑顔を二人に手向けた。
そして、やおら、三人組をじろりと睨み付け、
「おめぇらっ!一体何してんだ!ジェームズ!飼い葉の配合はどうなってる!マイク!馬具の手入れはどうした!来週は、蹄鉄の交換だろうがっ!ロイド!てめぇ、また、馬小屋の掃除サボったろう!地味な仕事を嫌がるなっ!そんなで、お嬢様付きの御者など、出来ると思ってんのかぁ!笑わせるなっ!」
と、怒鳴り付けた。
親方!すいません!と、叫びながら、持ち場へ走り去る三人組を見送りながら、セバスとセビィは、小さく笑った。
「いやはや、見苦し所を見せたね。私の力不足だな。まだまだ、半端な仕事しかできていない。セバス、申し訳ない」
きちりと、頭を下げるエドワードに、セバスは慌てた。
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