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「あの、エドワードさん」
セビィが申し訳無さそうに口を開く。
「ごめんなさい。勝手に、ロイドを、お嬢様付きの御者に、なんて言ってしまって」
「セビィ?ロイドの事を心配してくれたんだろ?」
エドワードの言葉に、バレていたのかと、セビィは、肩をすくめると、
「あー、全部お見通しー」
ちろりと、舌を出して、笑って見せた。
「おや、セバスは、わからないか」
と、エドワードも、セビィに連られて笑った。
何かしらがあった、というのは、想像できるが、流石のセバスも、馬小屋は、エドワードに任せきり。管理範囲外、と、自分で勝手に決めている為に、目の前で、2人の息のあったところを見せつけられては、どうにも落ち着かない。
「はあ、残念ながら降参、です」
セバスは、両手を挙げると、詳細を教えてくれと乞うた。
「それがね、お兄様。ロイドときたら、セビィさん、俺っち、また、へまやっちまったっス!とかなんとか、一日に、何度も何度も、追っかけて来るのよ。その間、あんたの仕事どうなってんの?状態。あーこれは、仕事放棄するほどの事があったんだなぁと。まあ、俺っちなりに、落ち込んでたみたいでね。ここは、ドーンと何か与えてやればと思って……」
「それで、お嬢様付きの御者発言か……」
まあ、セビィの言いたいことも、わからなくもないが、そんな、ドジっ子に、勤まる仕事ではない。本人が本気にしてしまったら、後々、面倒な事になる。
そもそも、エドワードがいるのに、新任者云々など考える事でもないだろう。
「あー、セバス、私は、もう、無理。近頃、腰は痛むは、指先は、震えるは、とてもじゃないが、手綱は、さばけないよ」
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