一章 ロイド家の双核「二」

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そもそも、別荘へお二人が移ったのも、ロイド伯爵が亡くなり、その喪に服す為にとか、いや、お嬢様が病弱で、療養の為にとか、長年放置していた領地のてこ入れの為にとか、さもありなん的な理由ではあるが、コロコロと言い訳がましく変わってくれ、挙げ句の、修道院行き。   正直、筆頭執事でありながら、セバスは、事情を何も知らない。深く追及すべきか否か。 子細を知るであろうエドワードに訪ねてみたいのは、やまやまだが、そのような、差し出がましい事をして良いのだろうかと、この不可思議な事態にモヤモヤしているだけだった。   あいまいにする、と、いうことは、何かしら、表に出来ない事があるということだろう。踏み込んではならないものと、相場は決まっている。   そこでふと、思うのが、お嬢様は、本当に戻って来られるのかということだ。   お嬢様は、既に、修道院歴、十年──、もしかして、もしかして、このまま、神にお仕えし、修道女への道を歩まれることになったのです。などと煙に巻かれてしまうのでは?だから、ゴニョゴニョと、誤魔化しているのでは?   なにやら、すったもんだがありそうなのだが、さて、エドワード曰く、お嬢様も修道院を後にする事に同意しているとか。   そんなものなの?それでいいの?お嬢様?などと、セバスは、人知れず頭を悩ましているのであった。
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