一章 ロイド家の双核「二」

21/22
前へ
/100ページ
次へ
執事の勘というやつか、セバスは、前々より、若干ながら、嫌な予感に襲われていた。   もし、このまま、何も知らされず、お嬢様とご対面してしまえば……、そして、嫌な予感がズバリ的中であったなら、一体、どの様に接すれば良いのだろう。   そんな兄の苦悩など、露知らず。 「エドワードさん。もしかして、お嬢様は、そんなに、醜女(ひど)いんですか?だって、私達には、見せられないって、そういう事でしょ?」 セビィは、めちゃくちゃ、攻めていく。 「いや、そんな事はないよ。むしろ、良すぎるって、ところかな。まあ、修道院生活が長かったからね、多少、世間とは、ずれているけれど、そこも、ひとつの魅力になりえるんじゃあないかな?そう、まるで、天使のような方。って感じでね……」 「まあ!私、てっきり、おつむは、弱いは、見た目も、酷いんだと思ってました。御者よりも、専属の、化粧師に、衣装方を用意する方が先だと思ってたんです」 「余計な心配をさせてしまったね。でも、セビィ、専属の化粧師に衣装方は、後々必要になって来るんじゃないかなぁ。お出ましが増えるだろうし、お屋敷にも、誰かしら招かないといけないだろ?」 「……そうだわ。エドワードさん!お嬢様って、お衣装お持ちなんですか?修道院ってことは、あの、鼠色のローブ見たいな布切れを巻き付けたような服って、ことですよね」 「セビィのいう通り。お嬢様は、戒律をお守りになって、身のまわりの品はほとんど無いに等しいんだ。ドレスなんて、もってのほか。まあ、かなり物入りになるけれど、セバスが上手くやってくれるだろう」 「やだ、それじゃ、必要品リスト作らなきゃ。お針子と絹生地の確保ね。最新のデザイン画も用意しなきゃ。うーん、やっぱり、衣装方を雇うのが先?一から用意しないといけないなら、三ヶ月で、間に合うかしら?」 「セビィ、それも、セバスが上手く仕切ってくれるさ」
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加