二章 お嬢様のご帰還準備「一」

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「その時、セバス様と目があったら、必ず孕むんだって!いゃーん!あたしも、セバス様の子供を孕みたぁーい!」 聞いてよと、黙って聞いていたら、とんでもない都市伝説を聞かせれて、三人組は、呆然とした。   セバスらしいというか、ひょっとしたら、あり得る事かもしれないと思わせてしまうところが、また、末恐ろしい。 「で、でも、サリー、俺は、セバスさんと話もするけど、今まで、孕むことはなかったぜ?!」 「あのね、マイク!それは、お屋敷で、でしょ?これはね、セバス様が、酒場でグラスを傾けている時に、って限定なのよ!」 なるほどと、三人組は、頷いたが、屋敷だろうと、酒場でだろうが、マイクの場合は、男。目が合おうが、合うまいが、孕む事などないのだが、あまりにも突拍子のない話に、マイクも、うっかり、その辺の事を忘れてしまったのだった。 「あー、もう、チャンスだとおもったのよ。二頭立ての馬車が、この店の前に止まってるんですもの」 サリーの視線は、まさに、セビィが入って行った酒場、「黒猫を踏み越えた乙女亭」に、留まっている。 「あっ、それで、セビィさん、慣れてたんっスね?マイクの兄貴!」 ロイドが、うっかり口を滑らした。 「ちょっと!なんですって?!」 「えーーと、何でもないっス!」 あくまでも、極秘で、と、セビィに言われていたことをロイドは思い出す。   狙った相手は、なかなか、落とせない人物だとかで、話が不調に終わらないよう、前もって、相手の耳に入らないようにする為だとか。   意表を突いて、相手に考える隙を与えずして、応じさせるつもりのようで、セビィなりに作戦を立てていたのだ。   それを、うっかり、破ってしまったと、ロイドは、焦る。 「ちょっと!もしかして、店にいるのは、セバス様じゃなくって、ってこと?!」 「まっ、そうゆうこと。あんまり、騒がないでくれよ、サリー。悪いが、場所が場所。セビィさんに傷がつくだろ?」 マイクが、言い渋りながらサリーをなだめた。
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