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店にいる群衆は、息を飲む。何事かが起こっているのだが、いかんせん、相手は、ジャック。
しかし、そのジャックにセビィが襲われている。何とか手を貸したいが……。
どうしても、一歩踏み出せないと、皆、顔を見合わせている所へ
「うわっあ!セビィさん!どうしたんです!それっ!」
と、耳をつんざく勢いの大声が、店に響き渡った。
「あっ、マイク!」
ジェームズが叫んだ。
人をかき分け、マイクが歩み寄って来る。
「ジェームズさん、こうゆう時は、でけぇー声出したもん勝ちなんっすよ」
マイクがジェームズに耳打ちする。
「だけど、お前、馬車は?」
「あー顔馴染みの、御者が通りかかったんで、預けてます」
余りにも、皆の戻りが遅いと心配したマイクは、店の様子を伺いに行こうと思った。しかし、流石に、二頭立ての馬車を放置出来ない。そこへ、顔見知りの、他家の御者が現れた。休みを満喫しているところ、すまないと、暫くの間、馬車を見てもらっているのだという。もちろん、ほんの気持ちという名の、酒代を握らせて。
「わりぃーなぁ、どうも、調子がでなくてよ」
「大丈夫です!ここは、俺に任せてください」
「マイクの兄貴~!」
とどのつまり、馬番三人組は、三人揃って一人前。
何処へ行くにも、何をするにも、三人いなければ、話にならないということらしく、メンバーが揃ったとばかりに、三人の顔つきが、一気に引き締まった。
「うわっ!セビィさん!」
マイクの放つ、でか声に、集まっている者達も、ざわつき始めた。
「マイク~!」
「セビィさん!しっかり、ちゃっかり、尻触られてるじゃあないですかっっっ!」
「尻ーーー!!」
と、集まる老いも若きも、男も女も、声を挙げた。
「ちょっ、そりゃあ、ないんじゃないか?」
「そうよ!」
「セビィさんは、素人だぜ」
「やだ、そんな事も、わからないなんて、マジ?!」
口々に、ぶつくさ言い始めた群衆に、ジョンが、キレた。
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