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二章 お嬢様のご帰還準備「二」
まさか、妹セビィが、大立ち回りを行っていると、夢にも思っていないセバスは、馬番の仕切り、エドワードと今後の事について話し合っていた。
とりあえず、馬商モンテニューノの手腕を見るため、お嬢様の乗馬練習用と称した牝馬を購入した。
この馬は、いずれ、掛け合わせて、日常用の馬を増やせればと思ってのものだが、もし、モンテニューノが使える商人ならば、今後、彼の所から、馬を仕入れても良いかという思いもあった。
お嬢様、と、言っても、アイリスは、いずれロイド家の当主になるお方。釣り合いの取れた、良家の子息を婿に取り、家の繁栄を継続していかなければならない。
そこまでの形ち作りは、やや、時間がかかるであろうが、何事も最初が肝心。
まずは、乗る馬車に、馬に、纏うドレスに、飾る宝石に、引き連れる執事とメイドにと、外向きの顔を固め、格の違いを示す必要がある。
何しろ、貴族社会。我が身の繁栄しか考えてない連中と、ある意味、戦っていかなければならないのだから、いくら、準備しても足りないのである。
その為に、セバスは、エドワードからも助言を得ようとしていたのだ。
「で、エドワードさん。御者が見つかったとしてですよ、馬は、あと、どのくらい入り用でしょうか?」
ロイド家の厨房で、スープ用の大鍋が吊るされている暖炉の前に、宵の口の冷えから逃げるよう、エドワードとセバスは、陣取っている。
木製の作業台兼、下働きがまかない時に使うテーブルには、空になった、ワインボトルが、数本転がっていた。
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