一章 ロイド家の双核「一」

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「なっ!それじゃあ、お宅ら、双子っ!」 「はい、そうですけど、何か?」 少しばかり、冷たい響きを含むセバスの返事が耳に入っているのかいないのか、モンテニューノは、興奮のあまり、顔を真っ赤に染めて、セバス兄妹(きょうだい)に迫った。 「いやぁーー!双子、それも(つがい)たぁーおそれいった!こいつぁ、縁起がいいやっ!」 この国に限らず、双子という存在は、数少ない。 注目を浴びる宿命を背負って産まれたとも言えるのだが、男と女の組み合わせは、これまた希少なのだ。 お陰で、モンテニューノが言ったように、(つがい)だのと、家畜扱いする者もいる。 さらに、縁起物だとか、露天商の客引きかのような言葉を吐く者もいる。 セバスとセビィは、慣れっこだったが、やはり、不快感は脱ぐえない。   嫌な思いをしないよう、できるだけ、双子の兄妹(きょうだい)ということは伏せていた。 「はあ、そりゃ息もぴったりな訳だわ。二つ柱と言われるのも、納得だ!」 モンテニューノの、饒舌は、これでもかと増していく。   ──二つ柱。 世間では、二人の事をそう呼んでいるらしい。
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