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実咲は手にしていたグラスを思い切り床に投げつけた。
それは、色の無い夢の中で思い浮かばれる赤い血を振り払うかのような気持ちだったのだろう。
真夜中に響くグラスが砕け散る音は、目の前で殺されたガンマ4の頭とシンクロした。
「イヤァァァァ!」
その悲痛な叫び声は、深夜の街に響いた。
そのまま、暗闇の中に崩れ落ちていく自分を感じたまま、実咲は意識を失った。
次に目覚めた時は、黒いカーテンの隙間から差し込む朝日の光で目が覚めた。
カラカラ・・・。
台所の方から何かを片付ける音が聞こえた。
実咲は布団から起き上がると、昨夜の事を思い出そうと記憶を遡る。すると・・・。
「無理に思い出さなくて良い・・・。また、昔の悪夢を見て叫んだんだろう・・・」
「昔の・・・、悪夢?」
その言葉に思い当たることは山ほどあった。
「そうか・・・。また、あの頃の夢を・・・」
「あぁ・・・。俺が来た時には、君は台所で倒れていたよ。まっ、危うく俺は足を切るところだったけどね・・・」
「ごめん・・・」
実咲の前に立つ男がゆっくりとベッドに近づいてきた。そして、ベッドサイドに座ると、「悪夢の原因は・・・、昔の記憶か・・・?」と尋ねる。
実咲は記憶を思い出すと、静かに頷いた。
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