百合ちゃんとは ?

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百合ちゃんとは ?

   母ちゃんは言動と遠く掛け離れた、良子(よしこ)と言う名前だった。    母ちゃんは時々こう言った。 「名は体を表すって言葉が在るだろ。宇宙一優しくて、地球一大人しい母ちゃんには、良子(よしこ)さんて名前は、ピッタリだね、お前、美しくて優しい良子(よしこ)さんの息子さんに生まれてきて、本当に良かったね」  ― 何が良かったね、だ、其れは息子である僕が決める事じゃないか、    僕が母ちゃんの、強烈な悪口と降りしきる嫌みに耐えながら    逞しく育って来た事は事実だけど、母ちゃんの名前は、口野悪江(くちのわるえ)    若しくは口野イヤ美(くちのいやみ)で、役所に変名届けを出した方が良いよ ー              と、  口まで出かかる言葉を押しとどめる。  そんな事を言ったら、間違いなく其の日の夕食が無く生ってしまう。     僕は暫くの間、母ちゃんに良子と名前が在るのを忘れていた、しかし 母ちゃんの名前を思い出させるような女子()が遣って来る事に成った。  その女の子は母ちゃんを、ヨシちゃんと友達の様に呼んだ。だから、其の女子()がヤンチャ顔の捻くれた性格の、頭の悪い女子だと思われるかもしれないが、実際は、宇宙一優しく、世界一美しく、日本一頭が良い女性だと思った方が良いかも知れない。     僕とは幼馴染みだが、彼女は雲の上に住む財産家のお嬢さんで、僕は雲の下に住むボロ家のアホ息子だ!  高校受験を控える大事な夏休みに、その美しき輝夜姫は、受験勉強を ソッチノケにして遣って来る事に成った………
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