22人が本棚に入れています
本棚に追加
百合ちゃんとは ?
母ちゃんは言動と遠く掛け離れた、良子(よしこ)と言う名前だった。
母ちゃんは時々こう言った。
「名は体を表すって言葉が在るだろ。宇宙一優しくて、地球一大人しい母ちゃんには、良子さんて名前は、ピッタリだね、お前、美しくて優しい良子さんの息子さんに生まれてきて、本当に良かったね」
― 何が良かったね、だ、其れは息子である僕が決める事じゃないか、
僕が母ちゃんの、強烈な悪口と降りしきる嫌みに耐えながら
逞しく育って来た事は事実だけど、母ちゃんの名前は、口野悪江
若しくは口野イヤ美で、役所に変名届けを出した方が良いよ ー
と、
口まで出かかる言葉を押しとどめる。
そんな事を言ったら、間違いなく其の日の夕食が無く生ってしまう。
僕は暫くの間、母ちゃんに良子と名前が在るのを忘れていた、しかし
母ちゃんの名前を思い出させるような女子が遣って来る事に成った。
その女の子は母ちゃんを、ヨシちゃんと友達の様に呼んだ。だから、其の女子がヤンチャ顔の捻くれた性格の、頭の悪い女子だと思われるかもしれないが、実際は、宇宙一優しく、世界一美しく、日本一頭が良い女性だと思った方が良いかも知れない。
僕とは幼馴染みだが、彼女は雲の上に住む財産家のお嬢さんで、僕は雲の下に住むボロ家のアホ息子だ!
高校受験を控える大事な夏休みに、その美しき輝夜姫は、受験勉強を
ソッチノケにして遣って来る事に成った………
最初のコメントを投稿しよう!