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「白富士さんが何で、此のボロッちい家に遊びに来るんだよ」
「えっ?お前? 学校の中で何時も百合ちゃんの事を、白富士さんなんて、よそよそしい呼び方をしているのかい?」
「当たり前じゃないか、白富士さんなんだから」
「啓太と百合ちゃんは、仲の好い幼馴染じゃなかったのかい。母ちゃん啓太が幼い時から、百合ちゃんも一緒に色んな所に連れて遊びに行ったじゃないか。お前は何時も百合ちゃんと手をつないで、二人で楽しそうに遊んでいたじゃないか、百合ちゃんとお前は、幼馴染みなんだよ。なんで、白富士さんなんて連れない呼び方をするのよ」
「何でって… しょうがないだろ」
「百合ちゃん、学校でお前の事を何て呼んでいるのよ、星野さんって呼んでいるのかい、啓ちゃんって呼んでるだろ。それなのに御前、少し薄情だよ」
「…… 」
「お前には、幼い時に百合ちゃんと一緒に遊んだ楽しい思い出は、今は もう無くなったの?」
無くなっている訳は無かった。
今までに何度も想い出していた。
夕日の中で母ちゃんが見守る中で幼い百合ちゃんと僕が、汗だくになって一つに生って必死に何かを探している、楽しい一時の光景と、ソノ時観た、奇怪な生物の姿は、消えた事は無い。
胸いっぱいに時めく郷愁の風景と、驚愕の風景が、蘇って来た………
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