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 深夜24時。ひと足先に仕事を上がらせてもらい、控室で化粧を直しているとスマホが震えてメッセージの通知が来た。 「あ!リノさん」  通知画面を見て思わず声が出る。送迎を買って出たリノだったが、今日は約束の20時になっても連絡が付かず、その後は梗がスマホを触る暇もなかったので、どういう状況なのか把握出来ていない。 【急遽断れない仕事が入った】 【帰りは迎えに行くよ。もう上がりかな】 【今日はお迎え行けなくてごめん】  相変わらずぶつ切りでメッセージが来る。  これはこれでもうリノの個性なので、メッセージが一つに纏まってる方が違和感を覚えるかも知れない。  梗は人知れずくすりと笑ってスマホの画面をタップする。 【お疲れ様です。私の方は今終わりました。すぐに出られるので一人で帰れますから大丈夫ですよ】  メッセージを送信しながら店を出ようと立ち上がると、すぐにスマホが震えてリノからメッセージが届く。 【良かった。今下に居るよ】 【入れ違いだったらヤバかった】 【待ってるよん】  気の抜けるメッセージに苦笑いを浮かべると、たまたま控室にやってきた紅蘭に、リノと無事に連絡がついたことを報告して店を出る。  エレベーターを降りてすぐに手を振るリノの姿を見つけ、梗は足早にそちらへ向かう。 「リノさん、お疲れ様です」 「んー。麗ちゃんだー」  行き着くなりギュッと抱き締められて、胸元からはあのオリエンタルな甘くてスパイシーな香りが漂う。  けれど昨日と違うのは少しお酒臭いところだろうか。 「あれ……リノさん、だいぶ飲んでます?」 「え、俺酒臭い?」 「そうですね、香りがする程度には」 「あちゃー。ごめん」 「謝ることじゃないですよ。それより、こんなところに来てて大丈夫なんですか?お付き合いで飲んでたんじゃないんですか」 「いーのいーの。それよりなんか機嫌良くない?なんかいい事でもあったのかなぁ」  さりげなく尻を揉みながらリノに顔を覗き込まれて、その手を叩くとパピヨンに天宮路が来たことを思い出す。  職場以外で会えるとは思っていなかったし、あんな反応をする天宮路を見られて思ってた以上に心が昂まった。
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