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遠くからサイレンが聞こえ,何台もの消防車が慌ただしく駐車場に入ってくると,野次馬を整理するのと同時に放水車が店の前に停まった。
その直後に救急車が真嘉内の前に停まると,救急隊員が手際よくストレッチャーを準備して,倒れている真嘉内の意識,脈拍,呼吸,心拍と止血状態を確認してからすぐに車に乗せた。
あっという間に消防隊員が燃え盛る店に放水を始め,何人もの警察官が辺りを閉鎖してスマホで撮影している野次馬を遠ざけた。
「真嘉内,いまから病院に行くからな! ちゃんと戻ってくるんだぞ!」
「あなたも怪我をされてますね!? 左腕を見せてください!」
「警察です。この場の処理にあたるので。それに自分は打撲か,最悪でも骨折なんでまずはこいつを連れて行ってください。緊急度が高いのはこいつなんで」
「わかりました。でも,必ず病院に行って下さい。最悪の場合,骨折でも重傷になる可能性はありますので」
「ええ。そんなに痛みに鈍いほうじゃないんで,この現場を引き継いだらすぐに病院に行きます」
真嘉内は酸素マスクで顔を覆われたまま,車内にストレッチャーごと固定されて病院へと搬送されて行った。
「山本さん,大丈夫ですか!?」
振り向くと,同じに生活安全課に勤務する真嘉内の同期の小鳥遊謙二郎が慌ててやってきた。
「ああ……小鳥遊か。いま真嘉内が病院に運ばれて行った。あいつ……左腕を切断されちまった……」
「え……? 左腕を切断?」
「ああ……俺は左腕を折られた……」
「え……? 山本さんも病院に行ってください!」
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