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ベッドに拘束されて身動きができない横で年配の織田と大柄な看護師が激しくセックスをする音が響き渡り,山本を苛つかせた。
『なんなんだ,こいつら……ふざけやかって。いい歳した中年が人の横で発情してんじゃねえよ……後でこいつらぶん殴ってやる……』
固定された身体に力を入れると骨折している右腕にも自然と力が入り一瞬焦ったが,右腕からは痛みも違和感も感じなかった。
『あれ……? マジか……右腕が痛くない……麻酔が効いてるってことはないよな……? 指先は普通に動くし……なんだ,これ?』
なにが起こっているのかわからず混乱したが,右腕のことを考えると夢や幻覚で見た内容に頼りたくなった。
そして少しでも逃げられる方法を見つけるために,すぐ横でセックスを始めた二人を無視して,過去の出来事を少しでも思い出そうと,キーワードをさらに頭の中で繰り返し,記憶を呼び戻すヒントを探した。
『くそっ……二十年前の事故,今回の事故,共通点,唾液,再生…………。織田,実験,病院,俺,織田,実験,病院,俺,織田,実験,病院,俺』
若い頃の織田の顔が浮かび,救命救急センターに運び込まれた山本を興奮気味に診察している姿が見えた。横には看護師が一人,織田の指示でテキパキと動いていたが,よく見ると大柄な看護師の若い頃の姿で,いまとは比べものにならないほど細く美しい顔立ちをしていた。
織田と看護師は,千切れてなくなった山本の股間が目の前で再生していく様子を興奮しながら見ていた。
『これは,我々二人だけで独占すべきだ。この患者の情報は現代の医学界では受け入れられない。誰にも知られずに研究し,時がきたら学会に出そう』
『え……先生,本気ですか? こんなの……人間とは思えないです……怖いです……』
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