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「まぁ俺も当てるつもりでやって来たけどよ。でもこればっかりは運だからな。フハハ」
巻貝は手に持っていた抽選券を、四回分だと広げてみせた。互いが敵だと認識していても、並んでる客らは心のどこかで、巻貝の連覇を見てみたいと首を伸ばして静かに見守る。
ガラガラガラ、トン。
「はい、赤ぁぁぁ〜。一発目はティッシュだ」
続いて二回三回と、巻貝は赤を引いた。
「今年はダメかなぁ……」
三回も続けて赤を引くとさすがに気落ちした巻貝は、周りからの期待を背中にひしひしと感じていた。
「リュウさん。一等でなくてもまだ緑色や黄色も残ってるから。二等の緑は商品券五千円分だからよ、当てちゃってくれよ」
「そうだよ、リュウさん。今年は最終日なのに珍しく一等二等が出てないんだよな。可能性は充分ある。落ち着いて」
巻貝は手の汗をズボンで拭いて、四回目に挑んだ。
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