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「あっ!」
「あぁぁ……」
落ちた玉は黄色の三等。今年の三等は食器用洗剤と不織布マスク五枚セット、入浴剤のなかからひとつを選ぶ。
「うわぁ……、リュウさんでもダメだったかぁ。今年の玉は何だろう、全然出てこねぇよ」
巻貝はマスクを選び、コクンと頭を下げてその場を去った。住民らは口々にこぼす。
「今年は誰が運を掴むんかなぁ」
「でもよぉ、一等が出ないってことも当然あんだろ? やっぱ」
「出なかったら今年は当たりなしか?」
「そりゃ金色が出てこなかったら来年に持ち越しだろう」
「来年、一等が二つ?」
「だな。それはそれで盛り上がりそうだけど」
抽選会に並んでるくせに、何故か自分が当てるという言葉が出てこない。人がいいというか、この地域の人間性というかーー。
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