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抽選会は十七時まで。一等は出たが、まだニ等三等も残っている。橋爪は待っている間、ポケットからスマホを取り出すと、今日のニュースを拾ったり動画をみたりして時間を潰す。
一列に並ぶ街灯がぽつりぽつりとつき始め、短い間に外と中の明るさが逆転した。するとそこにいた川西が、ちょっと飲み物を取ってくると言って、少しの間その場を離れた。
タッタッタと暗闇から足音が聞こえ、人影が遠目に映る。橋爪は徐にその姿をじっと見た。
ーーあの人が自治会長?
しかし近づきつつあるも、その男はスピードを落とさず橋爪の真横を走り抜けた。
「え?」
そのとき男は黒い上着のポケットから、バサッと茶色い何かを落とす。
「あのッ! 何か落としましたよ?」
男は聞こえないようで、そのまま次のカーブを曲がって行ってしまう。
「ん? 財布」
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