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橋爪は落としたものが財布とわかり、交番に届けなければとそれを拾った。ペタッと開いたその長財布には、一万円札がたんまり入ってるのが一目でわかる。
複数あるカードの中に免許証らしきもの。それを少し引き抜くと、新田ハジメという名前の、細面の男の写真。橋爪は金持ちそうなその顔をじっと見た。すると。
「はいはい、そこまでーー」
何だろうと振り向くと、新米警察官の岸が橋爪目掛けてやってきて、その後ろを中年の警察官が続く。
「所内さーん! 現物あり! 現物所持してますッ」
岸は橋爪の正面に立ち、所内が到着するのを待った。
「おぅおぅ。こんなところで盗んだ財布なんか堂々と広げてよぉ……。今の若いもんは悪いことしたって自覚ないのかよ」
「盗んだ?」
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