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なぜなのか僕はからかわれるよりずっと恥ずかしくて、その場から消えてしまいたかった。
その後、風邪を引き学校を休み、そのまま冬休みに突入し、冬休みが明けても僕は学校に行かないと言って母を困らせていた。
ボンヤリとそんなことを思い出していたら、差し出した指を黒い犬は唐突に舐めた。
「あ!」
声を出してしまったら、犬が驚き一歩退いた。
「ごめん、僕が悪かった。ビックリしただけだよ」
もう一度根気よく犬が近付いてくるのを待った。なかなか寄ってこない。
「怒ってないよ」
そうさ、青島は怒ったんじゃない。僕を救おうとしただけなのに。
犬は再びジリジリとほふく前進で近付いてきて僕の指を舐めた。犬は出来た。
「信用するって勇気がいるんだ」
犬は僕の言葉を理解したとは思えない。ただ僕の指を舐めてからなぜか甘噛をしてきて僕を慌てさせ、笑わせた。助けてやったのに噛むやつがあるかと僕は自嘲する。
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