かぐや姫の住む街

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             プロローグ  7月5日の深夜。私はふと目を覚ました。真っ暗なはずの部屋の中全体が薄蒼い光に包まれていた。天井や壁や家具まで、淡い蒼色の光に照らされている。私はベッドの横で手毬くらいの大きさの透明な球体が蒼く光って浮いているのに気が付いた。正体の分からないそれを目の当たりにして、とても驚くはずなのに、私は冷静でいた。何の恐怖も感じない。やがてそれは上下に伸び、大きく形を変えて人の形になった。ホログラムのような透き通る蒼い人型の塊は私に向かって語りかけた。良く見るとイケメンの彼。彼は私に、にわかには信じがたいことを淡々と述べて言った。私は黙って彼の声を聞いていた。私が彼の言っていることを理解して頷くと、意識が遠のいた。目覚めると私はいつもと変わらない朝を迎えていた。
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