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第18章
気が付くと、私は丘の上の公園の真ん中の芝生の上に倒れていた。星々が静かに夜空にきらめいている。誰かが私の手を握っていた。横を見ると、寛君だった。寛君も芝生の上に横たわっている。私が体を起こすと、寛君が目を覚ました。
「あれ?」
寛君も上半身を起こし、周囲を見渡した。
「私たち気を失ってたみたいなの」
私たちは顔を見合わせた。
「どうして?」
「分からないわ」
私たちはつないでいた手をそっと放した。
「いつから気を失っていたんだろう」
「彗星が現れて蒼い光に包まれたからだわ」
「彗星って? 蒼い光って?」
「どこまで覚えてるの?」
「花火が終わって、君がまたマックに行きたいって言いだしたことは覚えてる」
イケメン君のことは全て夢だったのだろうか。私は、体が宙に浮いたことを覚えている。
「帰ろ。もう9時半だ。スーパーに戻って荷物を取ってこなくちゃ」
「うん」
私たちは立ち上がた。私は空を見上げた。確かに現れた蒼い光。私はここからいなくなるはずだったのに。
寛君が私の手を掴んだ。そして私たちは手をつないで丘の細い道を下りて行った。
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