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永遠に
髪はもう
すくのをやめてほしかった。
血を通わせるほど
思いを込めて 櫛けずるのは。
そうされるのは
血が出るほど
辛かった。
女は気づかない
髪が血を流したわけに。
痛む髪を手でなぜながら
うたい続けた。
「髪をすきましょ
あの人のために
あの人の好きな
髪をすきましょう」
血はとめどなく流れて
女の白い着物を染めて
そして………
女は意識を失った。
赤く染まった着物にくるまれて
傷ひとつなく
微笑んで
眠りについた。
幸せな思いは
涙に染まることなく
慕う幸せのまま
永遠になった。
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