坂から下りてきたら

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⑸  テニスコートの駐車場に車を停めた。管理事務所で道具を借りて、信次は優希とコートに出る。二面あるクレイコートは、どちらも空いていた。ベンチに道具を置いて、信次は優希と対面する。  テニスは趣味でやっていた程度だが、まだ始めたばかりの優希の相手なら、何とかなるだろうという自信はあった。 「いくよ」  顔をきらきらさせた優希が声を上げる。信次は「いいぞ」と軽く手を上げて、構えた。  優希は思った以上に上達していて、年齢のせいもあって信次はついていくのがやっとだった。信次を負かせるかもという雰囲気があったのがよかったのか、優希もテニスを大いに楽しんでいた。
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