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 まだ目も開かない赤子の頃から知る少年が七年の時を経て、いま自分の前にいる。  初めて笑いかけてくれたときのこと、ふらつきながらも自分のもとへと歩いてきてくれたときのこと、「真衣ちゃん」と初めて呼んでくれた日のこと、真衣の頭の中で七年の間に積み上げられてきた思い出が次々と蘇ってきていた。 『いつも遊んでくれて、いつも笑顔で、いつも優しい真衣ちゃん、僕は真衣ちゃんのことが大好きでした。ママよりも大好きです』  会場から笑いが起こった。  陸斗の母親も笑みを浮かべ、妹である真衣も口元に手を当てて笑っていた。 『僕が真衣ちゃんとのことで覚えている記憶は、公園の芝でお話をしたときのことです。すごく晴れていて、空が青くて、真衣ちゃんとお弁当を食べました』  真衣の中で数年前の記憶が蘇る。  あれはまだ陸斗が三歳にもなっていない頃、陸斗の母であり、真衣の姉である莉紗に無理をいって陸斗と公園に行った。「真衣ちゃんとお出かけしたい」と無邪気な笑顔で懇願する甥っ子のためならばと、苦手な運転もこなした。 『僕は真衣ちゃんとずーっと一緒にいたいと思っていました。僕は、本当に本当に真衣ちゃんと結婚したいと思っていました』  先ほどより大きな笑いが起こった。真衣が隣を見ると新郎の豊も笑っており、陸斗も笑みを浮かべていた。
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