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『そんな真衣ちゃんが彼氏を僕の家に連れてきたことがありました。僕のママに豊さんを会わせるためでした。僕は初めて見たとき、豊さんがちょっと嫌いでした。どうしてかというと、僕から真衣ちゃんを取っていく奴だと思ったからです。あのときは……睨んじゃってごめんなさい』
陸斗が頭を下げると豊も笑みを浮かべながら頭を下げた。豊もまた初めて陸斗に会ったときのことを覚えていたのだろう。
『豊さんと真衣ちゃんが並んで座って、「結婚するんだ」と言ったとき僕は驚きました。本当に驚きました。人生でいちばん驚きました』
まだ七年しか生きていない少年の「人生でいちばん」は自分の結婚だった、真衣もおかしくなり笑った。
『僕が大人になったら真衣ちゃんと結婚するつもりだったんだけど、それはできないんだとがわかりました。だから、結婚するって聞いた日は真衣ちゃんに「おめでとう」って言えませんでした。全然嬉しくなかったからです。真衣ちゃんが取られちゃうなんて嫌でした。あの日は悲しかったです』
そう言えば、あの日泣きそうな顔してたっけな、真衣はそんなことを思い出していた。
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