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私に誘い文句をかけたその主人も、首に黒い羽根の飾られた数珠をかけており、その如何にも()()()()()雰囲気に私は釣られ、その主人の話を聞く事にした。やはり彼は拙い英語で、凡そこんなことを私に話した。 「それは七つの天体によって(つかさど)られた等量の個体によって循環し、それらが、三十前後の一つの集団を形成する。 その集団はこの大地の天候を司る神の言葉そのものであり、これを読み解けば、気候の予測が可能だ。 壁にそれを飾り、朝と晩に礼拝することで、汝はその恩恵を受けられる」 私はその謳い文句が気に入り、商品を見せてくれと要求した。そして主人は店の奥からその図面を取り出した。  残念なことにそれは只のカレンダーらしかった。彼の英語はまずかったが、確かに嘘はついてなかった。私は気を落とし、そのまま立ち去った。去り際に店主が罵倒をしている様だったが、それはもはや英語でもなく、私にその意味は判然としなかった。
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