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*  ホテルに帰った私は、念の為に胃薬を飲み、スーパーで買った現地らしい食べ物の惣菜と地ビールの缶とで、夜を過ごした。窓からは、こんな夜更けでも露店の灯りが煌々としている。私はそういった風景を見ながら思索に耽っていた。  すると、露店の方から緑色の閃光がパッと爆ぜたかと思うと、一筋の煙が立ち昇った。その煙は高く昇り、空に漂う雲と融合した。その雲を観察すると、トーテムポールのように三つに重なった悪魔的な顔貌が見えた。  私はそれを酔いのせいかと思い、二、三瞬きをし、頭を振って酔いを覚まそうとした。その後にもう一度その雲を確認すると、確かに顔に見えなくもないが、それは単に雲の陰影が丁度顔のように見えるだけで、悪魔的でさえなかった。これがシュミラクラ現象か、と私は合点した。  いよいよ、私は眠くなり部屋の電気を消し、ベッドに潜り込んだ。その時である。ドアの方からノックがした。こんな夜更けにノックするとは、かなりの非常識なスタッフでないとしたら、恐らく酔っ払いの類いであろう。私は無視する事にして布団を深く被った。
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