342人が本棚に入れています
本棚に追加
俊輔は母親の後輩にあたる。
高校を卒業する際、一緒に暮らさないかと誘われたのだ。俊輔の母からの評価は「いい加減だけど、気のいい奴」といったものだった。
実際、兄弟のいない翼にとっては年の離れた兄のような存在で、昔から(よく言うと)面倒を見てもらっていた。
そして、カメラマンというと、この様な特異体質を持っているものなのだろうか?
千葉同様に、俊輔にも翼の機嫌が伺えるという不思議な能力があった。
俊輔に言うと「俺は天才だからな!」とおちゃらけて返ってくるため、もう言わないことにした。
「相変わらず、人の機嫌をカメラで覗くのやめてくれる?えっち」
「ん~?俺はカメラで覗かなくても、お前の機嫌くらい分かるよ。…あれだろ?生理」
「・・・おじさん、それセクハラだよ?」
「え!?ヤダ、ごめん!!」
「あははっ くだらな~」
そう言って笑う翼の頭をぐしゃぐしゃっと撫で付け
飯に行こう!と俊輔が言った。
先ほどまでの暗い気持ちが、俊輔のおかげで幾分か晴れた気がした。
最初のコメントを投稿しよう!