嘘と真実

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ここのところ元気がないなとは感じていたが… 昨日は明らかに、翼の様子がおかしかった。 突然の本郷との再会が原因だろうか、それとも学校やバイト先で何かあったのか… 笑顔で誤魔化されてしまうと、何も聞けなくなってしまう。 結局、翼に支えられているのは自分ばかりで、栞自身は翼が辛い思いをしている時に、支えてあげられていない… こんなフェアじゃない関係を翼は良しとしているどころか… 『ごめんね。こんな僕じゃ…しおりさんの力になれないよね』 ーーそんな訳、ないじゃない… … 翼と過ごしたこの数ヶ月、今まで知らなかった自分の弱さを知った。 それもこれも、誰かに支えてもらえるといった安心感がこんなにも、心強いものだと知らなかったから。 翼の笑顔に癒され、翼の言葉に励まされ、翼の腕に… 安心して… 徐々に、抜け出せないところまで来ている…と、自覚せざるを得ないほどに、今の自分に翼は必要なのだと感じる。 ーー私が毎日がんばれてるのは、つばさ君のおかげなんだけどなぁ… しかし、そんな自己中心的な発言を軽はずみにしてしまうことで、翼を縛りつけることになってしまうのではないか…とも思ってしまう。 そのため、自分の本当の想いを翼に伝えることはできない。 ただ、傍にいて欲しい… そんなこと、言えるはずがないのだ。 翼は自分の家族でもなければ … …恋人でもないのだから。
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