飯をくえ

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 天童家の三男として生まれた弥生は、幼い頃に母親を亡くして、その面影があまりない。そもそも、食べる事自体が面倒だし、何だったらサプリメントの方が効率がいいと思っている。だから、うちの台所係がわざわざ毎日声をかけて来る事が煩わしかった。  学校のホームルームの時間。担任が教室に入って来ると、生徒達は号令にあわせて立ち、礼をして着席した。弥生は、この連帯感も無意味だと感じていた。 「もうすぐ三者面談があります。保護者の方に出席してもらいますので、ーーー」  弥生は三者面談というその言葉に、少し反応した。担任は、淡々と説明しているが、弥生は頭を悩ませた。一体、うちの誰が来るというのか。  休み時間になると、担任がいる職員室へ向かった。 「先生、あの。」 「天童君。私の方から、ご家族に連絡しましょうか?」  いや、誰に?頼むから、そんな事しないでくれ。と、言いかけて止めた。担任は、弥生の家の事を知っているから、既にそのつもりだったようだ。  うちは大丈夫なので。と、弥生は結局、担任にそう言うと、下を向きながら職員室を出た。  廊下を歩きながら、“三者面談なんかする必要はない。俺は、”そう思ってはっとした。  “俺は、この先どう生きて行くんだろう?”
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