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「何って同じだろ?」
弥生は弁当を片手に面倒くさそうに三吉の事を見た。すると三吉は首を傾げてみせた。
「僕のクラスは、親子丼とわらび餅だよ。それから、きゅうりの酢の物と、なめこのお味噌汁。」
そう三吉が続ける。口振りから弥生とは違い調理実習がそこまで嫌ではないのがわかる。
「クラスで違うのかよ。」
対して弥生は少し驚くと不満げな顔をした。どうせ作るならスパゲッティより親子丼の方が良かった。弥生は断然米が好きだ。そんな様子に三吉は笑いを堪えながら言った。
「弥生君は家で料理するの?」
三吉は答えがわかっていながら質問した。
「するわけねーだろ。」
弥生は一言そう返事をしながら、何気なく手元の弁当を見た。今日も肉と玉子焼きは定位置に入っていてその味はわかるが、作り方はわからない。そういえば、いつの間にか玉子焼きも随分見栄えするようになったなと気が付いた。あの台所係がうちに来てまだ間もない頃は味もいまいちだったのに、と弥生は思った。
「弥生君のお弁当っていつも美味しそうだね。」
丁度よく言った三吉の台詞に素直に頷けない弥生は三吉の食べている物の方に関心を向けた。今日も艶々のロールパンの間にハムやレタス、トマトやスライスチーズなんかが挟まっていて美味しそうだ。ただ、今の弥生にとってはやはり量に関して物足りなさがあった。
「お前さ。昼飯にそういうので足りるのか?」
「え?うん。」
「ふーん。」
「・・・もっと食べなきゃ大きくなれないってわかってるんだけど、すぐ満腹になっちゃうんだ。」
三吉は困ったように笑っているが、多分その事もコンプレックスなのかもしれない。見た目も相まってまるで女子のようだと、本人も自覚があった。
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