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意地になって“いらない”と言ってしまったが、お腹は空いていた。机を見れば、三者面談の案内の紙があり、弥生はため息を付いた。
“誰に言えば。”
その時、コンコンと、突然部屋の扉がノックされて、弥生はどきっとした。勝だった。
「若、ご飯は?」
「お前もかよ。いらない。」
「・・・へーい。」
本当はかなりお腹が減っていた。元々少食だが、母親か亡くなって、前台所係が消えてから、お腹が空けばコンビニで適当に買う。まして食べない日もあったりで、その食生活はかなり偏っていた。でも最近は、よくお腹が空くようになったし、体の節々が時折痛む時があった。
勝は食卓に戻り、かなめの配膳を手伝った。
「若、いらないってさ。」
「そうですか~。お腹空いてるっぽいんですけどね。珍しく台所に来たから、夕飯食べるかな?って思ったのにな。なんかあったのかな。」
心配そうにかなめは首を傾げた。
「ほっときなよ。今日のご飯はなにー?」
神無がふふっと笑いながら、ふらりと食卓に現れた。さほど弟の事は心配していないようだ。
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