飯をくえ

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 風呂に入り、弥生はどうしてもお腹が空いて、夕飯の残りを目当てに、こっそり暗い台所に向かった。  すると台の上にお盆があって、すぐにわかった。そこには丁度一人分くらいの夕飯のおかずが盛られ、ラップがされていた。 「・・・。」  おそらくは、かなめがよけて置いてくれたのだろう。ハンバーグとマカロニサラダだ。  しばらくその前で突っ立て、その気遣いに反抗する気持ちがあったが、空腹の誘惑には勝てなかった。  少し焦げ気味で、形も少々いびつなハンバーグには、ケチャップをベースに、きのこが入ったソースがかかっていた。マカロニサラダには、粗く潰したゆで卵とハムやキュウリ、薄く切ったタマネギ、人参などが入っていた。  ありきたりなメニューだか、その要所にかなめの個性が出ていた。売り物では、この黒い焦げはない。  弥生は、一口、ハンバーグを口に入れた。この焦げが、甘めのソースと合わさって中々クセになる。そのソースがマカロニにかかって、マカロニも主役と化していた。  皿の上は、あっという間になくなった。 「・・・うま」  温かい時に食べていたら、もっと旨かったんだろうなと、弥生は素直に思った。
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