Blood and tears of murder

1/1
前へ
/6ページ
次へ

Blood and tears of murder

アメリアが来てから半年。 俺たちはすっかり仲良くなった。 殺しの話も、俺が読んでた面白い本の話とか 色んな話をした。 「シックって何でも知ってるね…!凄いな…私は殺しの事以外なーんにも知らないや…。」 『知識が沢山あるからいいって訳じゃないよ。俺は殺しの技術が磨かれてるだけ凄いと思うよ。』 「そうかなぁ…!?ふふっ、ありがとうシック!」 アメリアは俺と同じ茶髪で瞳が赤かった。 微笑んだ顔が愛らしくて、頭を撫でると喜ぶ。 こりゃ自慢の妹だな…。 「ねぇ、シック。」 『なに?アメリア。』 「ずっと一緒にいてくれるって約束してくれる?」 『そりゃもちろん…。当たり前でしょ。』 アメリアは、にこっと微笑んだ。 だが、約束は組織によって断たれることになる。 それから1週間後、誰かが来た。 「誰だろ?私見てくるよ。」 『ありがとう。アメリア。』 こんな所…誰が来るんだろう? 組織のやつだろうか。いやでも…、 アメリアがこっちに来たのなら、組織は俺達はもう用済みってことだろうし…。 「誰もいなかったけど、外に大きなプレゼントボックスがあるの。」 『プレゼントボックス?どうしてそんなもの…。』 アメリアの言う通り外には大きなプレゼントボックスがあった。 「開けてみようよ、ちょっと気にならない?」 『いいけど、くだらない物だったらさっさと捨てよう。明らかに怪しいし…。』 その判断が誤りだった。 「な、なにこれ…。」 『あ…、』 「『父さん…?』」 箱の中から、バラバラにされた父の死体があった。 死体の上には手紙があった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 母さん、シック、アメリアへ 父さんはみんなをとても愛している。 だから、父さんは組織を出た。 組織は何かを企んでる。 だから、安全に暮らせる場所を探す旅に出た。 どうか許してくれ。 必ず戻る。 もう殺しは辞めて、平和に暮らそう。 愛してるよ。 父さんより 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 「ど、どういうこと…?父さん…??え、…。」 アメリアは呆然としていた。 組織独特の殺し方…。バラバラ死体。 俺は何度も見てきたので慣れてはいるが、アメリアは外に滅多に出たことがなかったらしいから見慣れないのだろう。 慣れてはいるものの、父の死体となると流石に俺も固まらずにはいられなかった。 『…っ…!』 それにしても、何故このタイミングで父が見つかったのか。 一体誰が、なんの目的で父を連れてきたのか。 組織の人間であることは間違いないが、意味がわからない。 突然、呆然と立っていたアメリアの姿が消えた。 「シック!!!」 アメリアは謎の男に連れ去られかけていた。 『ア…アメリア…っ、!』 助け出そうとしたのだが足が硬直し、動こうにも動けなかった。 くそ…っ!!こんな時に限って怯むなよ!! 足が動かない。アメリアと俺の距離はだんだんと遠くなっていく。 「シック…ッ!シック!!!」 アメリアが必死に叫んでいる。 人が来た。 アメリアがいなくなる。 殺す。 誰を? 男を。 今、ここで。 『アメリアぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!!!!!!』 俺はアメリアに向かって走りだした。 そっから先は、当時の俺もよく覚えていない。 気がついたら俺は、病院の中だった。 『…?アメリア…?!』 名前を呼ぶが、返事はない。 別室だろうか。 俺はベッドから降りようとするが、点滴が邪魔で降りられなかった。 『…』 それにしても何故ここへ…? 俺は一体…。 すると、部屋の外から声が聞こえた。 「…が、……の時間で…。」 「……か。なら、………どおりの……」 「……ました。」 途切れ途切れで何がなんだかはわからない。 ……の時間…?? なんの時間だろうか。 すると、部屋の扉が開いた。 「シックさん、体の具合はどうですか?」 と、看護師が俺を訪ねに来た。 『え、…あ、あぁ…はい…。』 「そうですか!丸一日目が覚めなかったもので…心配したんですよ。」 そう言って看護師は出ていってしまった。 なんだったのだろうか。 しまった…。アメリアの居場所を聞いておけば良かった…。まぁいいや…次来た時にアメリアの、居場所を聞こう。 それから1週間。 扉の横に取り付けられた窓口からパンと水が届くだけで、あの看護師も誰も来なくなった。 流石にそれはおかしい…。 俺は病室から出て、看護師の元へ訪ねに行った。 すると、ナースステーションの近くの部屋からこの間の途切れ途切れに聞こえる人達の声が聞こえた。 「おい、この娘…テイラー家の娘じゃないか。これ失敗したらベルモンドさんに殺されるぞ…?!」 「はぁ?なァに言ってんの…!テイラー家の親は両方死んでんの。そんで、アイリスがアメリア逃がしたから腹いせに殺せだとさ。」 「じゃあなんでテイラーの娘だけ…。兄も病棟にいるんだろう?殺せばいいじゃねぇか…。」 「それがさァ…、テイラーのガキだけ残すんだと。アイツだけは殺すなって司令入ってんだよ…。ホンットに…ベルモンドさんは何考えてっかわかんねぇよなぁ〜。」 アメリアを…殺す? そんな…ッ! それだけは絶対に止めないと…。 でも…、声は聞こえても中は見えないからアメリアが目の前で殺されるかもしれないし…。 クソ…ッ!どうしたら!? 「おい、誰かいるのか?」 !??!!?? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「おい、誰かいるのか?」 そう言って管理員が部屋から出ていった。 チャンスだ…。今ここでコイツらを殺してシックを探して逃げられる…!! 私はベッドから飛び降りて近くにあった凶器を手にし、もう1人の管理員を切りつけた。 「…って…!!テメッ!何しやがるッ!?」 よし…コイツはあと一息で殺せる…! いける、と思ったのも束の間。 管理員が棍棒を私の頭へと振り落とした。 「あ…ッ…!!?」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 同時刻。 盗み聞きしていた部屋から管理員が出てきた。 「おい、お前…何聞いてやがる?」 大人の圧。 アメリアの時よりも怖かった。 『あ、…あぁ…。』 「なんだよ…喋れねぇのかよッ!!?あァッ!?」 俺は思いっきり腹を殴られ、意識を失いかけた。 あぁ…。もう終わりだ。 俺も…裏で殺されるに違いない。 アメリアもここで死ぬんだ…。 きっとそうだ…。 その時。 キィィィィンッッッ!!! と刃物が擦れる音が響く。 俺は咄嗟に目を開け、音のする方を向くとそこにはアメリアを連れてきたアイリスが立っていた。 「シック様ッ!早く行ってください!!アメリア様は私が責任を持ってシック様の元へ連れ帰らせます!!」 そう言ってアイリスは俺を押し飛ばした。 俺は言われるがまま、外へ走った。 何度も何度も病院を振り返りながら走った。 誰も追いかけては来なかった。 アメリアとアイリスがまだあの中にいるのに… 俺は逃げてもいいのか? 2人を…見殺しにするのか? そんなこと出来るわけな… パァンッッ!!!!パァンッッ!!!! 真昼間に銃声が2発鳴り響いた。 『な…ッ!?』 銃声…?助けなきゃ…!! いや、でも…、アイリスが…逃げろって… でも…、でも…っ!!!! あぁ…。 もう二人共生きていないのかもしれない。 確信は出来ないが、おそらく死んだ。 管理員は恐らく組織の奴らだろうから、そうそう近距離で外すことは無いだろう。 俺はこれからどうすれば…。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加