17人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
8.降り積もる思い
昨日から寒波に見舞われたこの地方は、今朝、窓の外を見ると、どこもかしこも純白の世界になっていた。
朝陽を受けて輝く眩しいほどに美しい光景に、無意識に大きく息を吸っていた。
降り積もる思いが、この雪のように綺麗なものだったら良かったのに…。
吸い込んだ冷たい空気が胸の中に広がって、俺の汚れた心を浄化してくれるみたいだ…。
そんな無垢な美しさ…。
降り積もった雪は、屋根や木々の上に残りながらも、翌日にはもう溶けてしまい、束の間の美しさは幻のように消えていた。
そして、毎日 車に踏みつけられ歪なでこぼこが出来た灰色のアスファルトが、またむき出しになっているのだった。
【完】
2022.1/20〜1/25
✣✣この作中の妻側のストーリーです。もし よろしければ…。✣✣
『私を見つけないで。私に気づいて。』
https://estar.jp/novels/25986903
最初のコメントを投稿しよう!