8.降り積もる思い

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8.降り積もる思い

昨日から寒波に見舞われたこの地方は、今朝、窓の外を見ると、どこもかしこも純白の世界になっていた。 朝陽を受けて輝く眩しいほどに美しい光景に、無意識に大きく息を吸っていた。 降り積もる思いが、この雪のように綺麗なものだったら良かったのに…。 吸い込んだ冷たい空気が胸の中に広がって、俺の汚れた心を浄化してくれるみたいだ…。 そんな無垢な美しさ…。 降り積もった雪は、屋根や木々の上に残りながらも、翌日にはもう溶けてしまい、束の間の美しさは幻のように消えていた。 そして、毎日 車に踏みつけられ(いびつ)なでこぼこが出来た灰色のアスファルトが、またむき出しになっているのだった。        【完】 2022.1/20〜1/25 ✣✣この作中の妻側のストーリーです。もし よろしければ…。✣✣ 『私を見つけないで。私に気づいて。』 https://estar.jp/novels/25986903
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