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プロローグ
わたし中川英美利は誰もが認める美しい女性なのだ。
この綺麗な顔を活かした女優という職業に就いている。わたしが街を歩くと皆が振り返る。
「見てみて中川英美利ちゃんよ。やっぱり美しいわね。オーラが普通の人と違うね~」
「うわぁ~英美利だぜ! 本物を見てしまった。やっぱり可愛いな」
「あ、中川英美利だ。やっぱり美人だね。だけど、あの人わたし様だよね。自分に自信がありすぎっていうかさ」
なんて色々な声が聞こえてくるのだ。やっぱりわたしは美しいのねと嬉しくなる。ちょっと三つ目のわたし様というのは気に入らないけどね。
自分で言うのもアレだけど、わたしは絶世の美女なのだ。
うふふ、今日も鏡の前で微笑みを浮かべる。うん、やっぱりわたしは美人だ。毎日鏡を見るのが楽しくて何時間も鏡の前に座ることもある。
それから女優業は楽しいのだ。だって、わたしの演技で人の心を動かし笑ってもらえたり感動してもらえると嬉しくなるのだ。
それに、一つの作品を作り上げる達成感もあるしいろんな女性を演じることもできるので様々なわたしになれる。
もちろん演じるために勉強も必要ではあるのだけどやっぱり楽しい。
そう楽しくて毎日幸せなんだけれど……。
わたしには何かが足りないそんな気がするのだった。
そう何かが。
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