プロローグ

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なんて失礼な奴なんだ。美人女優英美利にヨダレを垂らして寝ているのかなんて言うなんて……。 わたしはふんだと怒りながら枕を見るとヨダレのシミができているではないかーーー! 「うわぁ~ヨダレを垂らしていたよ~」 わたしは大きな声で叫んでしまった。ヨダレを垂らすなんて恥ずかしいよ。 「おい、英美利。ヨダレを垂らしていたのか? 笑えるんだけど」 浜本が扉の外で笑っている。 「うるさいわね。わたしだって時にはヨダレだって垂らすのよ」 「あはは、時にはかな? おい、英美利、それよりは早く準備をしろよ。撮影に遅れるぞ!」 浜本はあははと笑いながら扉をドンドンと叩いた。 憎たらしくて頭にくる。わたしは中川英美利だというのに馬鹿にして。わたしは、がるるーと吠えた。 あらあら、わたしとしたことが……。がるるーなんて吠えている場合ではないわね。さあ、ヨダレを拭いて綺麗なわたしにならなくてはね。 わたしは鏡の前に座りうふふと微笑みを浮かべた。
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