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「やった~大阪だよ」
わたしと浜本は新幹線を降り立った。新大阪駅は人で溢れかえっていた。
「大阪といえば食い倒れの街で有名だよね。ホカホカの豚まん食べたいな。あ、でも長蛇の列だよ。並ぶの面倒だね」
「……おい、英美利」
「う~ん、あ、そうだ。取り敢えずたこ焼き味のじゃがりこでも買おうかな」
わたしは、ズラズラと人が並んでいる豚まんを諦めてたこ焼き味のスナック菓子を買うことにした。
「おい、英美利ってば人の話を聞いているのか?」
わたしがお菓子を買おうとウキウキしているのにうるさい声が聞こえてくるのだから堪ったもんじゃない。
「もう、聞こえてるよ。浜本うるさいよ~」
「あのな。遊びに来たんじゃないんだぜ」
「わかっているよ。だけど、今日はオフでしょ」
「まあ、そうだけど」
「だったら問題ないよね」
わたしは、えへへと笑って見せた。
「英美利、あんまり騒ぐと明日のスポーツ新聞に『中川英美利大阪の街で暴れる』とか出るんだから気をつけるんだよ」
浜本は眉間に皺を寄せて大袈裟なんだから。
「大丈夫だよ! 大人しく買い物するもんね」
大阪よ、こんにちは。
わたしは、そう答えお土産屋さんに向かって駆け出した。
うふふ。今日はおもいっきり遊ぶもんね。
この時のわたしはとんでもないことが起きるとは夢にも思っていなかったのだった。
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