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テスト期間中。「何か楽しい事ねぇかな〜」ってつまらなさそうな彼に、何気なく「じゃあ、テスト終わったら遊ぶ?」って言ったら、「マジマジ?遊ぶ遊ぶ!」って笑顔で返されて、あの時は驚いた。
そんなに嬉しそうな表情、してくれるなんて思わなかったんだ。
胸をキュッと掴まれた気がして、きっとあの瞬間。君は僕にとって特別な存在になった。
初めて見た君の私服姿は、普段のクールな雰囲気とは少し違って可愛かった。
黄色いパーカーで、喜ぶ時や楽しそうな時に手を振る仕草を見て「なんかヒヨコみたい」って僕が爆笑したら、君は何度も何度も……やってくれたね。
夏休みは、互いに違う部活だったからほとんど会えなかったけど、君が僕の靴箱にジュースやらお菓子やらいつの間にか入れてくれてて……。部活が終わってそれを見る度、嬉しいけど何だか少し切なくなって、「会いたい」って口から出そうだったんだ。
……でも。
それ、は決して言ってはいけない気がして、今まで口にはしなかった。
二年に進級して、別々のクラスになっても僕達の仲良しは健在だった。
昼休みには一緒にお弁当を食べたり、お互い部活がない日は寄り道しながら一緒に帰ったり、休みの日は一緒に遊んだり……。カラオケ、ゲーセン、ショッピングモール、何処に行っても楽しかった。それはきっと……。
ーーううん。
それは絶対に、隣に居るのが君だったからだ。
僕はその気持ちを、ずっと親友だからだと思っていた。
いや、そう思おうと、していたんだよね。
……
…………。
想い出が途切れて、現実に戻る。
「……、……てな訳よ!
つまり向こうが、俺の働く姿に惚れちゃったみたいなのね!」
そう言う笑顔の君を見て、
何でバイトなんて始めたんだよ!
そんな所に行かなきゃ良かったんだ!
そんな女は君の良い所しか見てない!
知り合ったばかりなんだろっ?
何でそんなに簡単に付き合うんだよっ?!
僕の方が、ずっと君を見てた!
僕の方が、ずっとずっと君を大切に想ってる!!
……精一杯、胸の内に堪えてた。
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