あの「当選しました!」ってウザイよね

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「おめでとうございます! あなたが当選されました!」  (かたわ)らのラジオから流れる軽快な音楽に誘われたかのように、パソコンの画面上にそんな言葉が躍り出る。  その甘美な響きとは裏腹に思わずため息を漏らす。 「またかよ……」  何が原因なのかは知らないが、最近はインターネットを使用しているとこの手のものが頻繁にでてくるのだ。 「おめでとうございます! あなたにスマートフォンをプレゼント!」 「100万人目です! 幸運なあなたに好きなゲーム機を!」 「10万円のギフトコードがあなたの元に!」  初めて見た時ですら胡散(うさん)臭すぎて全く信じなかったが、念のために調べてみたところ、思ったとおりこれは詐欺だった。なんだかんだ理由をつけてクレジットカード情報の入力などをさせられ、それが悪用されるのだそうだ。 「ウィルスに感染しています!」 「ファイルが破損しました!」  過去にはこんな風に恐怖心を(あお)るタイプにも遭遇したことがある。どちらも悪質であることに違いはないが、「物欲に目が眩んだことを恥じて被害を申し出ない」を計算しているとすれば、今回の方がより(たち)が悪いかもしれない。  カーソルを×(バッテン)の上に移動させ、イライラをぶつけるようにマウスを強くクリックする。まったく、誰がこんなものを作るんだか。  だいたいこちとら、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、イベントなどの懸賞、抽選はもちろんのこと、年賀状の下2桁、切手シートすらもらったことない男だ。そんな人間が労せず当選してたまるかってんだ。
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