一章

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一章

 私は占い師をしております龍河大地(りゅうがだいち)と申します。相談者様の聞きたいことや知りたいこと、又はそれに対してのアドバイスをさせてもらっています。その鑑定結果に納得がいかなければ御代はいただいておりません。  こんな私にも後継者見習いが居りまして、今は身の回りの世話や事務的な事をしてくれています。白椿(しろつばき)です。  この子は高校を卒業と同時に私の所へやって来ました。 「ここで働かせて下さい」  私には何の事やら全く理解出来ませんでしたが、波動が合ってしまったのでしょう、知らず知らずの間に私が呼び寄せてしまったようです。そして着の身着のまま玄関先に立っていました。 「どうした?」 「ここで働かせて下さい」 「お弟子さんは取ってないんだよ、ごめんね」 「ここで働かせて下さい。女の私ではダメですか?」 「えっとぉ。何か理由があるのかな? 恋愛感情とかあると、良くないんだけど」 「それは無いです!」  そうなんだ。それはそれで良いんだけども。そこまでハッキリ言われると、さすがの私でも心が折れてしまう。 「雑用でも何でも良いんです、ここに居させて欲しいんです」  その後、ご両親もお見えになり長い話し合いが始まりました。本人の揺るがない心構えがご両親の心に響いたのでしょう、最終的にここで働く事になりました。  白椿の性格はとても真面目です。その話は追々する事にしましょう。  ここは平屋の建物ですが部屋数は三部屋あり一人の時は広すぎましたが、白椿が来てからは暮らすに丁度良い広さに変わりました。  そして生意気にも中庭が付いております。そこには働き盛りの犬が居ます。柴犬の大和(やまと)です。良からぬ物が近づくと吠えて追い払ってくれる頼もしい相棒です。頑張ったご褒美はカミカミガム。勢い良くカミカミしてたまにオエッとなります。可愛い奴です。  ご近所さんも優しい方ばかりで、私達の事を気遣って差し入れや夕飯のおかずを持ってきてくれます。肉じゃがと漬物の組み合わせの時は良いのですが、おでんとおでんで被った時はおでんフルコースとして三日間いただきました。  その代わりと言っては何ですが、ご近所さんには感謝の意味も込めて毎日ご祈祷をさせてもらってます。お陰で体調が良くなったとか霊的現象が無くなったとか、良い話を聞くことが出来ています。  人間は一人では生きては行けません。こうして持ちつ持たれつ、共存していくのだと思いますよ。  それでは、共存、同調出来ない放辟邪侈(ほうへきじゃし)(勝手気まま、わがまま)な相談者様からのお話を始めたいと思います。
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