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その日の夜。
「今日はゆかり味の唐揚げです。先生唐揚げお好きでしたよね」
「そうね、好きだよ。ゆかり味とは古風だね」
白椿は小皿に唐揚げを取り分けてくれた。
そして俺に向き直ると、今日の日高の件について聞いてきた。
「先生? 仕事の話しなんですが聞いても良いですか? このままだと私、気になりすぎて眠れません」
「わかった。じゃぁ、夕飯が終わったら仕事部屋へ行こうか」
「ありがとうございます」
「白椿、今日は唐揚げだから虫はいないね。添え付けの野菜は大丈夫だった?」
「はい、カット野菜なので」
その手があったか! 白椿も学習してきたな。
夕飯の後片付けを済ませて仕事部屋へ入った。軽く掃除をしながら話をする。
「先生、今日の一件は誰が首謀者だったんですか? 日高様の奥様はなぜこの場所がわかったのですか?」
俺はハンディモップ置くと説明始めた。
「全てはあの化け猫が主犯だったんだよ」
「あの化け猫ちゃんが?」
「そう、あの化け猫ちゃん。鈍感過ぎる日高に色んな事を気付いてもらいたかったんじゃないかな、愛人の気持ちや本当の現実を。
俺が思うにあの化け猫は、人間に憑依したのは良くない事だけれど、あの愛人を助けたかっただけじゃないのかな」
「助けたかった?」
「そう。悪い言い方をすると、全てあの化け猫が仕組んだ罠たった。良い言い方をすると、人間を誘導して解決に導いた、そんな所だろうな。
奥さんが俺の所へ来れたのも、化け猫が長女を介して住所を教えたからなんだよ。そして今までの事実確認をして、納得した上で鑑定代を届けにきた。自分で始末が出来ないから周りが大変な思いをするんだよ」
「精神的に奥さんは大丈夫なんですかね」
「俺の所へ来たときは泣いてはいたけど気丈に振る舞っていたよ。あんな日高には勿体ない奥さんだよ。
今後がどうなるかは夫婦の問題だからね。あの奥さんなら子供を抱えていても立派に生きていけるよ。子供達もあの奥さんがいれば大丈夫」
白椿は俺と目を合わすと安心したのか笑った。
「他に質問は? 今なら受け付けるよ」
白椿は手を上げた。
「はい、白椿さん」
「日高様が入り込んできたとき、先生は波動を打ちましたよね? そこまでしなくても良かったのでは無いですか?」
その指摘に俺は焦った。大人げないとわかっていたが、そこを今突いてくるか?
本来ならキャノン砲をお見舞いしたい所だったが、そうもいかないので波動を打っただけであって。
「えっと、俺の城へ勝手に入ってくるのは許さない。それだけ」
「は?」
「ちょっとイラッとしただけ」
白椿はフフッと笑った。
「先生。可愛いですね」
恥ずかしい。かなり恥ずかしい。俺の短所がバレてしまった。
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