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二章
「先生お洗濯上がりました。ここ置いておきますね」
白椿が仕上げてくれた洗濯物をリビングにある棚に置く。三十分後。
「先生? お洗濯しまって下さい」
更に三十分。
「先生! お洗濯!」
「はぁい! 今します!」
俺の一日は意外と忙しい。
午前中は施設の事をしながら依頼された書類作成や出張の段取りだったり、やることは山ほどある。そして午後からは相談者の予約。
そして大和の相手は欠かせない。こんなに可愛い大和をほったらかしにするなんて、俺には考えられない。
白椿はそんな俺と大和にヤキモチを妬いているようだ。
「妬いていません!」
白椿も透視に磨きが掛かってきたようだ。余計な事は言わないようにしよう。
午前中に白椿が買い物へ行ったときに花を買ってきた。そのピンクの花びらは金魚みたいにヒラヒラしていた。
リビングのテーブルにそれを飾ると、向きを変えながら角度に悩んでいる白椿に聞いた。
「この花は何ていう花なの?」
「スイトピーです、可愛いですよね」
「儚げな感じが切ないね」
「そうですか?」
白椿は俺に向き直るとこの花について話し始めた。
「スイトピーは豆科の植物なんです。花びらが蝶々に見えるので、門出とか卒業とか旅立ちなんて花言葉があるんです。
因みに豆科なので枯らさない様に育てると、サヤエンドウみたいな実がつくんです」
「へぇ、面白いね。花が散ってもサヤエンドウで楽しめる訳ね」
「食べられませんよ」
「そうなんだ」
傘の柄の先にサヤエンドウがぶら下がっているのを想像した。面白い絵ずらだな。
「花びらだけで終わらないのがたくましいですよね。今回、久しぶりにそのサヤエンドウを見たくて買ってきました。だから、花びらが落ちて茎だけになっても捨てないで下さいね」
「わかった。俺もそのサヤエンドウが気になる」
二人で見合って笑った。
透視能力という言葉を聞いたことはあるでしょうか? 人間の潜在能力の中に静かに眠っている力です。それを発揮できるか否かは本人次第です。
と言うのも、透視はトレーニングで開花するからです。そのスイッチさえ入れることが出来ればアナタも透視能力使いです。
と軽々しく言ってみましたが、絶対に悪用はしないで下さい。
二章は、無念を残した霊が世代を超えて取り憑くといった、とても面倒くさい相談者が来たときのお話しです。どこまで透視出来るかが鍵となります。
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