二章

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「出でよ緑龍」 雲の隙間から現れたのは緑の龍。 「今日は大きくでたな」 体長十メートルはある緑龍は、天を大きく旋回すると、鬣をフンワリなびかせながら頭上まで降りてきた。 ゆっくりゆっくりと擦り寄るように巻き付く緑龍。俺はその頭を撫でた。 「力を貸してくれ」 俺を中心にとぐろを巻いて頭をもたげると、キリッとした目で偽城山を見る。 それは正しく蛇に見込まれた蛙。 偽城山は後退りをするが、ガクガクして尻餅を突いた。相当恐れているらしい。 「シニタクナイ、シニタクナイ」 「お前はとうの昔に死んでいる。今までの所業を改めるなら考え直してやっても良いぞ」 「シンデイナイ、シンデイナイ」 偽城山はそう言うと立ち上がり、その一刀に怨念を込めて刀を振りかざしてきた。 俺は呪文を唱え、両手を大きく回すと偽城山に向かって波動を打った。それと同時に緑龍がキーッと鳴き声を上げると空気が裂け、その道を波動と共に偽城山まで一直線で飛んでゆく。 波動と緑龍の力にぶち当たられた標的は、細かく砕け消えていった。 緑龍は再び俺の元へ戻ってくると、甘えるように巻き付いてくる。頭を撫でて礼を言った。 「力になってくれてありがとう。しかしお前は可愛いなぁ」 ひとしきり戯れると緑龍は天に帰っていった。 そして俺は力を使い果たしていたのか、そこで意識が飛んだ。 「先生! 先生!」  白椿の声で目が覚める。  床に転がった俺を抱きかかえていた白椿。そして直ぐ目の前で瞳をウルウルさせながら俺の顔を覗き込んでいた。 「白椿、近いよ」 「先生、大丈夫ですか?」 「大丈夫、大丈夫」  重い体を起こして椅子に座った。  本物の城山は気絶したまま椅子にひっくり返っていた。 「先生、城山様はどうしますか?」 「そろそろ起こしてあげようか」  白椿は城山に近づくと右手を高く上げて一発張り手をした。 「痛そっ」  本音が出てしまった。アレが俺じゃ無くて良かったと胸をなで下ろす。  目が覚めると何が起こっていたのか分からない城山は、俺に説明を求めた。 「あの、私に何があったのでしょうか? 今は何故だかとても体が軽くて、熟睡した後の様です」 「城山さん、頬の方は大丈夫ですか? かなり赤く腫れていますけど」 「はい、大丈夫です」 「では、今まであった流れをご説明しましょう」
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