二章

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「結果から申し上げます。城山さんに憑いていたのは何代か前の自害したご先祖様です」 「ご先祖様がなぜ憑くんですか? 守護霊とかではないのですか?」 「そのご先祖様は、あまり容姿が良くなかったようです。そんな風に産んだ両親を憎み殺めて自害した。そこから血縁関係を追って、何人ものご子息に取り憑き今の城山さんに取り憑いたって訳です。  彼的には、よく言えば非社交的な城山さんを楽しませてあげたと言う感じでしょうかね。悪く言えば、城山さんの体を使って楽しんだと言った所でしょう。  本来なら何代もの世代が続いて子孫繁栄な所、城山さんの家系だけ事故死が多かったのではないですか?  城山さんが眠りについてから、アナタの体を使って夜な夜な町へ繰り出していたんです。だから体は休んでいなかった。結果、過労です。  お聞きしますが、他の霊能者さんの所へも行きましたよね?」 「はい、行きました。でも何の問題もないと言われたんですが」 「そこなんです。私達霊能者は見える物が事実です。ですが今回、城山さんを透視して見えた物は偽物だったんです」 「どう言うことですか?」 「正直に言いますね。城山さんがここに来て始めに見えたのは、アナタの後で色んな女性とセックスを楽しんでいる城山さんでした。なので、きっと女性には困っていないんだなぁと思ったんです。多分、他の霊能者さんにもそう言われたのではないですか?」 「そうですね。その通りです」 「それは城山さんに憑いているご先祖様が、私達の目を欺く為に見せたお芝居だったのです。  では、何故そのような事をしたのか? それは、アナタの魂を自分の子供にするためです」 「え?」 「そうですよね、意味が分かりませんよね。  結論から言いますと、ご先祖様が作った幻想の世界を充実させるために、子孫を使って自分の住みやすいハーレムを作った訳です。  そして子孫を使う理由は、血縁は裏切らないと言うことです」 「はぁ、そうなんですね」 「ご先祖様は既に七人の子供を連れていました。この事実を知らないままでいたら、城山さんは八人目の子供にされていたと思われます」 「あの、過労とご先祖様のことは理解できました。では、婚約者とのことはどうなるんですか?」 「非常に言いづらいのですが、結婚詐欺ではないかと」 「そんな、事は無いと、思いますが」 「もしかして、こちらの女性ではありませんか?」  城山はタブレットに映ったその女性を見て驚いていた。それでも信じようとしないのは、すっかり騙されているからだと推測する。
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