四章

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「ワタシガシンデノロッテヤル」  君はハーフの子の友達だね? 君が死んでも何も変わらないよ。呪いはそんなに力は無いから死ぬなんて勿体ないだけだよ。命は大切だからね。  どうやらこの子が一番たちが悪いと感じた。いまだに新奥に対する怨念が残っていると見受けられる。要はハーフの子のとばっちりを受けた形になる。理不尽だな。  仮にM子としよう。新奥の過去に遡るためにこの子目線からの透視をしてみようと思う。 時は中学時代。新奥は呼吸をするように人を傷付けて快楽を得ていた。刃向かう者は力でねじ伏せ、目をそらす者は圧力で潰す。 どうやらM子は小学校からのクラスメイトで新奥とは仲が良かったらしい。同じ班になっては協力して課題をクリアする仲だった。 中学生になりハーフの子と仲良くなると、お前も汚いと言う理由でいじめが始まる。 先ずは仲間外れから。周りの人間に口裏を合わすように指示して、とことん無視をする。 あれ? いたの? と言って給食の用意をしない。 近くに寄るだけで、汚いのが来た! と言って周りの人達と示し合わせて皆で逃げる。 更にヒートアップすると、教諭がいるにも関わらず出てけコールをする。その教諭も聞いていない振りをする。  最終的にはクラス全員でいじめをする。周りの人間も参加しないといいじめの標的にあうためやらないわけにいかない。  どの教諭も見ない振りをしていたので、それを止めようとする人間は誰もいなかった。それだけ新奥の力は強かったと言うことだ。  ある時、M子は遺書を書いた。  今まであったことを日記に記し、遺書と共に机の奥にしまった。二年間続いたいじめを終わらせたいと思ったのだろう。  私が死んで呪ってやる、と。  M子は高い建物の屋上にいた。  暗い足元は何も見えず、その先の闇だけがM子を吸い込もうとする。  風が強い。吹きさらしの屋上から見える電線が音を立てて揺れる。風が唸り、時には悲鳴をあげながら早く落ちろとM子の背中を押す。  風に煽られて揺らめいていると誰かに腕を掴まれた。M子の母親だった。様子がおかしいと思いM子を探しに来ていたのだ。  母親は何か手がかりがあるのではないかと机の中を探すと遺書があった。  そんな恨みを抱いたままここまで来たと言うわけだ。死ぬに死ねなかった者の結末だ。
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